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平野顕子のエッセイ

バックナンバー 留学主婦のアメリカン・ケーキ

45歳でアメリカ留学した平野顕子のエッセイ集
(2000年創樹社・発売終了)
を加筆・転載いたします。

お楽しみいただければ幸いです。

留学主婦のアメリカン・ケーキ表紙
主婦の見た夢

アメリカ留学の夢

イリノイへの招待

幻の留学

私への投資は800万円

英語との格闘はじまる

多国籍クラスのなかで

地下のキッチンでの日本食

作文が教科書に掲載される

若いころもっと本を読んでいれば

中国人留学生の死

アメリカ式ストレス解消法

ようやく正規の大学生として

自立するアメリカの学生

ドライブ・デビュー

驚異のシルバーパワー

ニューヨークへひとっ飛び

大陸横断旅行

アメリカンケーキへの道

アメリカン・ケーキとの出会い

おしかけて、弟子入り

グレート・アメリカンケーキへの道

グレート・アメリカン・アップル・パイの

作り方のポイント

セカンド・イズ・ザ・ベスト

ベースボールとアメリカン・ケーキ

歴史で味わうケーキ作り

未知のケーキとの遭遇(1)

未知のケーキとの遭遇(2)

卒業

遅すぎることはない

あとがき

驚異のシルバーパワー

動物と一緒にしては失礼だが、アメリカで車を運転していて、たまにどきっとするのがお年寄りのドライバーとの遭遇である。私が暮らしていたところでは、下は16歳の高校生から、上は80歳以上のおじいさん、おばあさんまで車を利用するのは当たり前。

ある日曜日の午前中のことである。久しぶりに髪を切りに美容院に行った。車で30分ほどのショッピングモールの中の美容院の近くで車を止めようとスペースを探し、「いいところが見つかった、ラッキー」と思って車を入れていると、別の車が反対方向から入ってきて、どんどん突っ込んでくる。こちらの動きなどお構いなしだ。

「なにすんの」と、思ってぐっと相手を睨んだが、かなり高齢のおばあさんだった。われ関せずといった様子で、よっこらしょとドアを足で思いきり蹴り開けて、よたよたとモールに入っていった。

こうしたシルバードライバー(特におばあさん)に共通するのは、他の車や人はあまり見ていないとういうのか、視界に入っていないようなのだ。ただ、まっすぐ前を見て進む。だから、アメリカではおばあさんの運転に要注意なのだ。

しかし、見方を変えれば、運転してどんどん行動するというパワーがある証拠でもある。美容院前の駐車場で会ったおばあさんも、そうしたパワーの持ち主だった。私が美容院で鏡の前に座ると、偶然そのおばあさんが隣の席にいる。なにやら店員と楽しそうに会話をしている。

「どうでしたフロリダは?」
「とっても楽しかったわ」
「それで、今回も滑ったんですか?」
「ううん、ちょっと体調が悪かったので今回はよしたの」
よくよく聞いていると、このおばあちゃん、フロリダにいる孫のところに行って、水上スキーをするというのだ。美容院を出るときも、つまずくほどの歩き方だったのに。アメリカの人だな。

そう言えば、あるテレビ番組では老人のシンクロナイズド・スイミングの大会に向けて練習に励む老人クラブのメンバー8人の様子を放映していた。全員70歳以上の老人たちで、中には80歳のおばあさんも含まれていた。

最後のリハーサルということで、顔も美しいメークアップをして、そろいの水着を着て、懸命に水中遊泳している様子がアップで映しだされていた。実に生き生きとして、深く刻まれたしわの顔が水中で美しく輝いていた。

「アメリカという国はなんでも可能にしてしまうんだな」
そう思っていると、この番組のあとのニュース番組のなかのお天気情報をみてさらに驚いた。“お天気おねえさん”がなんと、お腹の大きな妊娠中の女性だったのだ。歳をとろうが、妊娠しようが、関係ない。要は中身だということなのだろう。

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