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ケーキの歳時記

バックナンバー

1月 アップルパイの癒し
厳冬のニューイングランド

2月 チョコレートブラウニー
バレンタインデー

3月 メープルシロップ・チーズケーキ
マサチューセッツのメイプルシロップ工場

4月 ボストン・クリームパイ
ボストンとボストンバッグ

5月 巨大なデコレーションケーキ
卒業パーティーの花形

6月 ベークセール
労働と報酬そして遊び

7月 ストロベリー・ショートケーキ
独立記念日

8月 クランベリー・ブレッド
ファーマーズ・マーケット

9月 マフィン
大学生活の思い出

10月 パンプキンパイ
ハロウィーン

11月 インディアン・プディング
感謝祭

12月 フルーツケーキ
クリスマス

4月 ボストン・クリームパイ

ボストンはマサチューセッツ州の州都。アメリカの大都市の一つで、ニューイングランド地方の中心である。アメリカは建国220年余の若い国だが、その中ではイギリス植民地時代から始まる最も古い歴史を誇る。石畳の道やれんが造りの建物がとても美しい。日本の姉妹都市は京都。古都という繋がりだろう。

その京都で伝統工芸に関わっている弟が、ボストンを見て狂喜した。「ボストンはすごい。すごいなあ。ボストンバッグって、ここから来ているのかなあ」そう、あの、持ち手のついた旅行用のかばんである。しかし、ボストンバッグというのは明らかに和製英語で、アメリカで聞いたことはないし、辞書にも載っていない。なぜその名前がついたのか、よくわからない。

このような謎めいたものにもう一つ、ボストン・クリームパイというお菓子がある。

まず、しっとりとしたケーキ地を焼く。これは、名前はパイでもパイ皮なんてひとかけも使わない。れっきとしたケーキなのだ。カスタードクリームを作って、ケーキ地ではさむ。ここからが真骨頂。最上質のチョコレートをていねいに溶かし、ケーキの外側に滑らかに塗る。この時点で、水一滴でも鍋やナイフについてはいけない。チョコレートがゆるんで美しく固まらなくなる。

このボストン・クリームパイは、ボストン特産の材料を使うわけではないし、ボストンの何かに似ているということもない。まったくの推測にすぎないが、おそらく昔々、ボストンの誰かが作って有名になったお菓子で、元はパイ皮を用いたものなのだろう。

歴史に紛れて名が体を表さなくなったおかしなものたち。でもいいか。とにかくボストン・クリームパイは美味。機会があったら一度お試しください。

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