ケーキ歳時記
Cakediaries
ケーキ歳時記

7月
ストロベリー・ショートケーキ
独立記念日

   
7月4日の独立記念日は、ニューイングランドではいちごの季節にあたる。人々がジャケットをぬぎすて、半袖の腕を、やっとまぶしくなった陽光にさらすころだ。

この日には、大都市でも小さな町でも独立記念のパレードがある。夏空に星条旗がはためく。飾り立てたチア・ガールたち、誇らしげな騎馬隊、田舎町だったら泥のついた耕耘機までもが低速ギヤでメインストリートを行く。

パレードを楽しんだあとは、緑涼やかな木陰でピクニックだ。夏の短いニューイングランドでの数少ない夏の楽しみの一つ。冷たいレモネードとマスタードたっぷりのホットドック。そして、旬のいちごをはじめとした果物。

よく熟れた赤いいちごは、そのまま食べてもいいけれど、甘いのが好きなひとにはストロベリー・ショートケーキがいいだろう。

このケーキは、日本でおなじみの、ふわふわとはかなげなスポンジの上に、上品に生クリームがのって、いちごが一粒というのではない。もともとショートケーキのショートは、ショートニング、つまりクッキーやパイをさっくり焼くのに必要なバターなどの固形油脂の名からきている。

だから生地は、ほとんどクッキーのような、さくさくと歯ごたえも軽やかなものだ。それを丸く何枚か焼き、いちごを生クリームで和えたものをはさむ。その上に、いちごとクリームのデコレーションをのせる。

デコレーションは幾何学的に考えなくていい。青い夏空の下では、いちごの赤とクリームの白だけで美しい。難しいことは言っこなし。

一口食べてみるといい。生地はさくっと軽やかで、端がうっすらと、いちごとクリームのみずみずしさと溶合っている。歯ごたえの後で、いちごのさわやかさとクリームの優しさだ。

甘味を敬遠しがちな夏でも、このストロベリー・ショートケーキにはかなわない。豊かな午後を堪能した後で、さあ、夏の夜空にあがる独立記念の花火を見に行こう。