エッセイ
ESSAY
ESSAY
Ⅰ 主婦が見た夢
1.アメリカ留学の夢
2.イリノイへの招待
3.幻の留学
4.私への投資は800万円
5.英語との格闘はじまる
6.多国籍クラスのなかで
7.地下のキッチンでの日本食
8.作文が教科書に掲載される
9.若いころもっと本を読んでいれば
10.中国人留学生の死
11.アメリカ式ストレス解消法
12.ようやく正規の大学生として
13.自立するアメリカの学生
14.ドライブ・デビュー
15.驚異のシルバーパワー
16.ニューヨークへひとっ飛び
17.大陸横断旅行
Ⅱ アメリカンケーキへの道
18.アメリカン・ケーキとの出会い
19.おしかけて、弟子入り
20.グレート・アメリカンケーキへの道
21.グレート・アメリカン・アップル・パイの
作り方のポイント
22.セカンド・イズ・ザ・ベスト
23.ベースボールとアメリカン・ケーキ
24.歴史で味わうケーキ作り
25.未知のケーキとの遭遇(1)
26.未知のケーキとの遭遇(2)
27.卒業
28.遅すぎることはない
29.あとがき
23
ベースボールとアメリカンケーキ
日本ではいたるところで、今おいしいケーキを食べることができる。日本の消費者の舌はほんとうに肥えていると思う。私もいろいろなケーキを食べてきたが、それらヨーロッパ風のほんとうにおいしいケーキに比べれば、全体としてアメリカのケーキ(スーパーなどで売っているようなケーキではなく)は負けるだろう。
ところが、アメリカのケーキで、いくつかヨーロッパのケーキに勝ったものがある。それが、例えば、 『グレート・アメリカン・アップル・パイ』(これはヨーロッパにはないものだが)、
『ニューヨーク・チーズケーキ』と
『フルーツ・カブラー』だと思う。
それと、ヨーロッパのケーキとの違いは、アメリカのケーキには誰にでも作る楽しさがあるということだと思う。簡単に作れるということでもある。私はヨーロッパのケーキ作りも習ったが、これは材料も難しいし、そのプロセスは複雑だし、こと細かくしっかり学ばないとできない代物であり、なかなかもう一度自分で作ってみようという気にならない。それほど、芸術的だともいえる。
布地にたとえれば、ヨーロッパのケーキは絹で、絹はどこまでいっても美しいが、洗濯はできない。そこへいくとアメリカのケーキは木綿。じゃぶじゃぶと洗濯できるようなものだという感じがする。不況の時代でも家でできる。また、アメリカ人が好きなベースボールと同じ。
ベースボールは、「投げて」、「打って」、「走る」。ケーキ作りは、「粉を計って」、「かき混ぜて」、「ベークする」。野球に勝ち負けがつきもののように、ケーキ作りもときにはうまくいくし、時には失敗もする。そんな魅力があるものだと、習っていくうちに分かってきた。
ヨーロッパとくらべてどちらがいいか、優れているかということではない。それぞれの個性だと思う。ただ、強調したいのは、アメリカのスーパーやコンビニで売られているような、色鮮やかなネオンサインのようなケーキが、アメリカのケーキではないということである。
カラフルで丸ごと全部で3ドル50セントくらいで売っているもののほかに、ここで紹介しているような伝統的なおいしい家庭的なケーキがたくさんあるということだ。残念ながら、アメリカでも若いお母さんも作らなくなっているし、それはあまり日本では紹介されていない。だから、これからどんどんニューイングランドの文化とともに広まってほしいと願っている。
ところが、アメリカのケーキで、いくつかヨーロッパのケーキに勝ったものがある。それが、例えば、 『グレート・アメリカン・アップル・パイ』(これはヨーロッパにはないものだが)、
『ニューヨーク・チーズケーキ』と
『フルーツ・カブラー』だと思う。
それと、ヨーロッパのケーキとの違いは、アメリカのケーキには誰にでも作る楽しさがあるということだと思う。簡単に作れるということでもある。私はヨーロッパのケーキ作りも習ったが、これは材料も難しいし、そのプロセスは複雑だし、こと細かくしっかり学ばないとできない代物であり、なかなかもう一度自分で作ってみようという気にならない。それほど、芸術的だともいえる。
布地にたとえれば、ヨーロッパのケーキは絹で、絹はどこまでいっても美しいが、洗濯はできない。そこへいくとアメリカのケーキは木綿。じゃぶじゃぶと洗濯できるようなものだという感じがする。不況の時代でも家でできる。また、アメリカ人が好きなベースボールと同じ。
ベースボールは、「投げて」、「打って」、「走る」。ケーキ作りは、「粉を計って」、「かき混ぜて」、「ベークする」。野球に勝ち負けがつきもののように、ケーキ作りもときにはうまくいくし、時には失敗もする。そんな魅力があるものだと、習っていくうちに分かってきた。
ヨーロッパとくらべてどちらがいいか、優れているかということではない。それぞれの個性だと思う。ただ、強調したいのは、アメリカのスーパーやコンビニで売られているような、色鮮やかなネオンサインのようなケーキが、アメリカのケーキではないということである。
カラフルで丸ごと全部で3ドル50セントくらいで売っているもののほかに、ここで紹介しているような伝統的なおいしい家庭的なケーキがたくさんあるということだ。残念ながら、アメリカでも若いお母さんも作らなくなっているし、それはあまり日本では紹介されていない。だから、これからどんどんニューイングランドの文化とともに広まってほしいと願っている。