エッセイ
ESSAY
ESSAY
Ⅰ 主婦が見た夢
1.アメリカ留学の夢
2.イリノイへの招待
3.幻の留学
4.私への投資は800万円
5.英語との格闘はじまる
6.多国籍クラスのなかで
7.地下のキッチンでの日本食
8.作文が教科書に掲載される
9.若いころもっと本を読んでいれば
10.中国人留学生の死
11.アメリカ式ストレス解消法
12.ようやく正規の大学生として
13.自立するアメリカの学生
14.ドライブ・デビュー
15.驚異のシルバーパワー
16.ニューヨークへひとっ飛び
17.大陸横断旅行
Ⅱ アメリカンケーキへの道
18.アメリカン・ケーキとの出会い
19.おしかけて、弟子入り
20.グレート・アメリカンケーキへの道
21.グレート・アメリカン・アップル・パイの
作り方のポイント
22.セカンド・イズ・ザ・ベスト
23.ベースボールとアメリカン・ケーキ
24.歴史で味わうケーキ作り
25.未知のケーキとの遭遇(1)
26.未知のケーキとの遭遇(2)
27.卒業
28.遅すぎることはない
29.あとがき
28
遅すぎることはない
アメリカの大学を卒業できたこと、そして、自分の将来の足がかりが見つかったということ。この二重の喜びを得ることができた大事な二年間余りだった。行くべくして、アメリカに行ってきた。今ではそう思っている。天が与えてくれたチャンスに乗ることができた自分は、とてもラッキーだったともいえる。
子どもたちに胸を張ることもできたし、何より自信がついた。でも、何よりここまでやってこれたのは、母と亡くなった父のおかげだと思う。アナ先生の家に下宿していた時、隣の家ですら200メートルも離れていて、周囲に何もなく、まさに闇のなかだった。もし、ここで倒れでもしたらどうしようかと思ったことがある。思わず手を合わせて天国にいる父に「無事に帰してね」と祈ったほどだった。
本当の孤独とは、こういうものかというのが、身にしみて分かった。それを思うと、自分を健康に生んでくれた両親に、心底感謝したい気持ちでいっぱいになる。精神と肉体の両方が健康でないと、アメリカ留学はできない。
4,5年前の自分と今の自分は、まったく違う。アメリカに行って一番感じたことは、私みたいな普通の中年のおばさんに対しても、アメリカ人は拍手で迎えてくれるということである。何かをするのに、“TOO LATE”(遅すぎる)ということは一つもないと。実際、目的がしっかりしていれば、受け入れ態勢はしっかりしているので、私くらいの年齢でも、もう一度勉強しなおす人はかなりアメリカに行っている。
かなり費用もかかったけれど、自分に投資したというか、自分の幸せを買ったと思っている。正直言って今お金はほとんど残っていない。でも、お金がなくても、今は目に見えない力が自分自身についている。お金は有限だが、私の手と頭が培ってきた力は無限である。
アメリカで勉強することはもうないかも知れない、でも、もし、またチャンスがあるとしたら、もう一度大学に入って、4ヶ月だけでもいい、まだやりきれなかった語学だけでも勉強したいなあと、今でも思っている。
子どもたちに胸を張ることもできたし、何より自信がついた。でも、何よりここまでやってこれたのは、母と亡くなった父のおかげだと思う。アナ先生の家に下宿していた時、隣の家ですら200メートルも離れていて、周囲に何もなく、まさに闇のなかだった。もし、ここで倒れでもしたらどうしようかと思ったことがある。思わず手を合わせて天国にいる父に「無事に帰してね」と祈ったほどだった。
本当の孤独とは、こういうものかというのが、身にしみて分かった。それを思うと、自分を健康に生んでくれた両親に、心底感謝したい気持ちでいっぱいになる。精神と肉体の両方が健康でないと、アメリカ留学はできない。
4,5年前の自分と今の自分は、まったく違う。アメリカに行って一番感じたことは、私みたいな普通の中年のおばさんに対しても、アメリカ人は拍手で迎えてくれるということである。何かをするのに、“TOO LATE”(遅すぎる)ということは一つもないと。実際、目的がしっかりしていれば、受け入れ態勢はしっかりしているので、私くらいの年齢でも、もう一度勉強しなおす人はかなりアメリカに行っている。
かなり費用もかかったけれど、自分に投資したというか、自分の幸せを買ったと思っている。正直言って今お金はほとんど残っていない。でも、お金がなくても、今は目に見えない力が自分自身についている。お金は有限だが、私の手と頭が培ってきた力は無限である。
アメリカで勉強することはもうないかも知れない、でも、もし、またチャンスがあるとしたら、もう一度大学に入って、4ヶ月だけでもいい、まだやりきれなかった語学だけでも勉強したいなあと、今でも思っている。